D-OceanではじめるSDP #01

主観的なメタ情報。

データは、ヒト・モノ・カネなどの他の資源と同様に、流通しなければその価値を存分に発揮しません。そのデータを必要とする人や企業が効率的に探し出し、適切なコストで獲得できる状態が理想です。また、複数の異なるデータがかけ合わさることで、新しい価値を生み出す可能性もあります。データ流通(Data Trading)1)データ流通って?は、それを実現する環境やスキームをいいます。

人や企業がデータ流通を通してデータ取引(Data Exchange)を行う目的は大きく二つあります。ひとつは取引そのものが目的で、それにより価値や収益を獲得するというもの。もうひとつは異なるデータをかけ合わせて新しい価値を生み出すことが目的で、データ取引はその手段にすぎないというものです。

とりわけ後者は、データ駆動型イノベーション(Data-Driven Innovation)と呼ばれる、データを基軸としたイノベーションの創発には欠かせないものです。そのためには、データの客観的なメタ情報(概要情報)だけでなく、どのデータをどのようにかけ合わせれば、どのような新しい価値や活用法につながるかのアイデアや議論が必要となります。

データジャケットって?」でも触れた通り、データジャケット(Data Jacket)2)データジャケットって?は、データそのものではなく、メタ情報を公開することで、データの持つ価値を共有し、イノベーションの創発につなげるためのフレームワークですが、データカタログ(Data Catalog)が重視する客観的な情報ではなく、データ紹介者による主観的な情報が重視されます。そこでは、どのような(What)データであるか以上に、誰(Who)が、どのように(How)利用あるいは評価しているデータであるかが重要となります。

SDPは人とデータの出会いの場。

データに関する主観的なメタ情報の交換には、人と人がつながり、解決をしたい問題や実現したいアイデアについての有機的なコミュニケーションを通してデータを紹介し合える場が必要となります。これを実現するアプローチのひとつに、株式会社ディーオーシャンが提唱するソーシャル・データプラットフォームがあり、具現化したサービスが「D-Ocean」です。

ソーシャル・データプラットフォーム(Social Data Platform:SDP)は、文字通りソーシャルネットワークの機能を併せ持つデータプラットフォームです。データ駆動型イノベーションには、データの利用者提供者分析者などの多くのステークホルダーが存在します。利用者(User)は欲しいデータを要求し、データを保有する提供者と、それを分析できる分析者を見つける必要があります。提供者(Provider)は所有もしくは紹介可能なデータを有効利用してくれる利用者と出会いたいと思っています。分析者(Analyst)は自らの分析能力を活かしてプレゼンスを高める場を探しています。彼ら彼女らをデータを中心にソーシャルネットワークで結びつけるのがSDPです。

SDPであるD-Oceanには大きく二つの特徴があります。ひとつは、ソーシャルネットワークを通して、欲しいデータの要求やデータ活用アイデアの提案ができることです。また、互いのデータやアイデアを評価しあうことでモチベーションを高めることが可能です。もうひとつは、データプラットフォームを通して、即座に実データの共有や分析ができることです。それによりアイデアをすぐに実践することが可能となります。

ソーシャル+データ。

ではD-Oceanを実際に触って、SDPの世界を体験してみましょう。D-Oceanにアクセスしてみてください。検索エンジンで「D-Ocean」と検索してもらっても結構です。すると、以下の画面が表示されるので、右上の[ログイン]ボタンをクリックし、FacebookなどのSNSアカウントでログインするだけです。ログインすると、D-Oceanのスタートページが表示されます。

まずはデータを検索してみます。それには、左上の検索ボックスにキーワードを入力し[Search]ボタンをクリックします。試しに「野菜」と入力して検索してみると、画面下の検索結果表示エリアに「yasai_tenso_2017_tokyo」などのエンティティが表示されます。(※2019年6月12日現在)なお、D-Oceanでは登録されているデータセットのことをエンティティ(Entity)と呼びます。

「yasai_tenso_2017_tokyo」エンティティの詳細を見てみます。以下のエンティティのブロックのタイトルエリアをクリックすると詳細が表示されます。

詳細画面では、エンティティに付与されたメタ情報などの他に、画面下部の[Comment]エリアにて、他のユーザーから寄せられたコメントの参照が可能です。これはSDPのソーシャルネットワークとしての側面です。

また、実データが格納されたDBとの連携設定がされている場合は、クエリによるデータの抽出や分析が可能です。これはクエリが可能なエンティティであるため、画面下部に[Query]ボタンが表示されており、ここからクエリを実行することができます。これはSDPのデータプラットフォームとしての側面です。

このように、ソーシャルネットワークとデータプラットフォームの両側面をもちながら、人とデータが出会える場を実現するのがSDPです。次回はそれぞれの側面での簡単な使い方を紹介します。

脚注   [ + ]