TechGym セミナー報告

座学なしの実践先行型。

5月22日に開催された、TechGym主催の「ゼロからはじめるPythonプログラミング入門講座」に参加してきたのでレポートします。とはいえ、そもそもの参加目的がPythonの習得ではなく、テックジム方式という学習メソッドの体験なので、そちらを中心に紹介していきます。

出典:TechGym

テックジム(TechGym)方式は、基礎知識のないビギナーでも、座学なしの実践先行型でプログラミングを習得できるよう設計された学習メソッドです。その背景について、TechGymのホームページではこのように説明されています。

優れたエンジニアの多くは、職業訓練学校や研修スクールで学ぶような学び方をしません。 作りたいものを作っていたら、自然に習得できているのです。そして、優れた指導者(メンターや師匠)との出会いがエンジニアとしてのプロフェッショナル性を高めます。

TechGym

筆者の経験的にも、大学で初めてプログラミングの授業を受けた際、いきなり基礎知識を詰め込まれ、意味が理解できないだけでなく、楽しいという感覚が得られずに興味を失ってしまった記憶があります。その後、研究室でのAIの開発を通じてようやくプログラミングが楽しくなり、自ら学習するようになりました。

実際の学習の進め方としては、講師が課題を提示し、各自がひたすら自習で課題に取り組むというものです。この講座では「じゃんけんゲーム」を作るというのが課題でした。最初は、限定的な機能をとにかく動作する形にするところから開始し、徐々に機能を追加し、さらにプログラミングの記述を洗練させていく、というステップで進んで行きます。

各ステップでは、予め用意されたサンプルコードに倣いながら、少しずつ開示されるヒントを頼りにプログラミングを作成します。そして、それが動作したことを確認した上で講師からの解説があり、そこでようやく自分が記述したプログラムの正しい意味を理解することになります。この進め方は非常に合理的です。

もくもく会ベースの学習メソッド。

ちなみに、各自の自習形式で行うという点では、もくもく会に近いと言えます。もくもく会とは、カフェやシェアオフィスなどに集まり、各自もくもくと勉強したり作業したり本を読んだりするだけの会のことで、いわゆる勉強会とは違い、各自が主体的に取り組むことで”話を聞いて勉強した気になっただけ”にならないのと、完全な独習とは違い、同じ関心や課題をもった仲間がいることで背中を押されたり、互いに教え合うことで知識を高められるという特徴があります。

テックジム方式がもくもく会と異なるのは、課題と解くという明確な”やること”がある点と、プロの講師やメンターから教えてもらえる点です。すなわち、自発性とプロフェッショナル性を兼ね備えた学習メソッドと言えます。ただし、多くのもくもく会が有志により無料(場所代などの実費を除く)で行われているのに対し、テックジム方式は有料のスクールになります。

ちなみにプログラミングの実行環境としては、今回の対象言語がPythonであったこともあり、Google Colabで行われました。Colabについては「ColabではじめるPython」で詳細を解説していますが、Googleが機械学習の教育や研究のために無償提供しているブラウザUIベースのPython実行環境で、環境構築なしですぐにプログラミングを実践できる優れモノです。Pythonのプログラミング学習はこれだけで十分なので、しばらくはColab一択の状況が続くかと思います。