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	<title>Behavior Design &#8211; uxmeetsdata.com</title>
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	<description>UXとデータによる価値創発メディア</description>
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		<title>松村先生の仕掛楽 #02</title>
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				<pubDate>Mon, 26 Aug 2019 11:00:18 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Sho Nakaji]]></dc:creator>
		<category><![CDATA[Topics]]></category>
		<category><![CDATA[Interview]]></category>
		<category><![CDATA[Behavior Design]]></category>
		<category><![CDATA[Shikakeology]]></category>
		<category><![CDATA[UX Design]]></category>

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				<description><![CDATA[想定通りにはいかない難しさ。 中路：良い仕掛けをつくる上で、難しい点はどこでしょうか？ 松村：仕掛ける前には考...<p class="more-link"><a href="https://uxmeetsdata.com/shikaenjoy-matsumura-02/" class="themebutton3">Read More</a></p>]]></description>
								<content:encoded><![CDATA[<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter is-resized"><img src="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura.jpg" alt="" class="wp-image-13589" width="480" height="240" srcset="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura.jpg 1000w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura-300x150.jpg 300w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura-768x384.jpg 768w" sizes="(max-width: 480px) 100vw, 480px" /></figure></div>



<h2><strong>想定通りにはいかない難しさ。</strong></h2>



<p><strong>中路</strong>：良い仕掛けをつくる上で、難しい点はどこでしょうか？</p>



<p><strong>松村</strong>：仕掛ける前には考えていなかった想定外のことが起こることです。そこで、これを回避するために<strong>予備実験（Preliminary Experiment）</strong>を行います。事前に仕掛けを検証し、仕掛けに問題がないか、想定外のことが発生しないか、期待どおりの効果が出そうか、などを確認します。ちなみに、総選挙では予備実験をすることができませんでしたが&#8230;。</p>



<p><strong>中路</strong>：仕掛けの結果の検証や評価は厳格に行なっているのでしょうか。もともとAIの研究をされていたこともあり、データ分析は得意分野かと思いますが、具体的にどのようなことを行っているのでしょう。</p>



<p><strong>松村</strong>：仕掛けの結果の検証でデータ分析はしますが、特別なことはしません。基本的には<strong>すべて目視でデータ収集</strong>をします。どのような人がどのような反応をしているのか、そのときの表情はどういった様子なのか、といったことを定量化します。統計的な処理を行って仕掛けの効果を検証しますが、何より重視しているのは表情です。みんなが笑顔であれば大成功だと言えるでしょう。逆に怒っている人がいれば失敗です。</p>



<p>仕掛けの効果を正しく評価するためには、<strong>何をどのような観点で観察すべきかをあらかじめ議論し、漏れなく準備しておく</strong>必要があります。いったん仕掛けがスタートすると、後から観察したいことが見つかっても軌道修正することは難しいですからね。</p>



<p><strong>中路</strong>：総選挙では予備実験ができなかったとのことですが、仕掛けがスタートした後に気づいたことはありますか？</p>



<p><strong>松村</strong>：三つありました。ひとつ目は、<strong>気温による人の行動の変化</strong>です。実験期間中はそれ以前と比べて平均気温が5℃も上昇していました。気温が上がると、エスカレーターの利用率も上がると言われています。幸いにも実験期間後の平均気温がそれほど変わらず事なきを得ましたが、肝を冷やしました。</p>



<p>二つ目は、メディアの撮影用カメラにより階段を利用できない時間が発生してしまったことです。これはコントロールが非常に難しいケースかと思います。</p>



<p>三つ目は、<strong>第三の選択肢を与えてしまったこと</strong>です。「アフター5の行き先は福島駅？それとも天満駅？」というように階段に二つの選択肢を持たせたわけですが、その二つから選べない、あるいはそれ以外を選択したい人に対して、エスカレーターの利用を選択する&#8221;<strong>逆の理由づけ</strong>&#8220;をしてしまったということです。</p>



<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter is-resized"><img src="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_1a-1024x499.jpg" alt="" class="wp-image-13043" width="480" height="233" srcset="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_1a-1024x499.jpg 1024w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_1a-300x146.jpg 300w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_1a-768x374.jpg 768w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_1a.jpg 1104w" sizes="(max-width: 480px) 100vw, 480px" /><figcaption>大阪環状線総選挙<br>出典：JR西日本</figcaption></figure></div>



<p>ただ、このような想定外をすべて事前に気づくことは難しいため、仕掛学を<strong>市民科学（Citizen Science）</strong>にすることが重要だと考えています。</p>



<p><strong>中路</strong>：確かに、先人の知恵があると仕掛けの精度をより高められますね。さらに成果の観点でいうと、ひとつ一つの仕掛けの成果は小さくとも、それが広まることで大きな成果につながると思うのですが、その辺りの狙いはありますか？</p>



<p><strong>松村</strong>：まさにそこが、仕掛学を市民科学にする大きな意味や価値になると思います。研究者が仕掛けの実験をして終わるのではなく、みんなが仕掛けの実験に参画し、成功や失敗の経験を共有できるようにしたい。そのために過去の仕掛けの内容は公開していますし、多くの人が仕掛けを考える際に有効活用してもらいたいと考えています。</p>



<h2><strong>まずは良い仕掛けを学ぶことから。</strong></h2>



<p><strong>中路</strong>：仕掛学を市民科学に育てる上で大切なことは何でしょうか？</p>



<p><strong>松村</strong>：良い仕掛けと悪い仕掛けの大きな違いである、誰もが不利益を被らない<strong>公平性</strong>と、仕掛ける側と仕掛けられる側の目的が異なる<strong>目的の二重性</strong>に、その答えがあると考えています。</p>



<p>仕掛けられた側が「あぁ、騙された！もう二度と騙されないぞ！」と思ってしまえば、それは良い仕掛けではありません。仕掛けられる側が、仕掛ける側の目的を理解し、なおかつ「楽しいからやろう！」と参加してくれる仕掛けは、おのずと広がっていくと思います。また、そのような良い仕掛けがたくさんある社会は、きっと素敵なものになると信じています。</p>



<p><strong>中路</strong>：良い仕掛けを集める上でお手本となる業界や分野はありますか？</p>



<p><strong>松村</strong>：教育現場は良い仕掛けの宝庫です。優れた先生は、試行錯誤の末に獲得した、子供たちのやる気を引き出す独自の仕掛けを持っています。教科書をそのまま読むのではなくクイズ形式にしたり、外に出て実際のものに触れてみたり。生徒をワクワクさせる良い仕掛けをたくさん持っているわけです。これらを集めて、課題解決に活かす仕組みを作りたいと考えています。</p>



<p>また、良い仕掛けを見つけるには&#8221;<strong>遊び心</strong>&#8220;が必要です。例えばゴミ箱ひとつにしても、「ゴミはゴミ箱に入れましょう」と張り紙をしたところで、残念ながらポイ捨てをする人はいるわけです。仕掛けは、やってみたいと思わせたら勝ちです。ゴミを入れることを目的にするのではなく、バスケットゴールに入れて快感を得るという、まったく別の&#8221;<strong>楽しい</strong>&#8220;目的を与えることで、ゴミの回収率を高めることはできるのです。</p>



<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter is-resized"><img src="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_2a-e1567546891613-1024x1024.jpg" alt="" class="wp-image-13494" width="480" height="480" srcset="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_2a-e1567546891613-1024x1024.jpg 1024w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_2a-e1567546891613-150x150.jpg 150w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_2a-e1567546891613-300x300.jpg 300w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_2a-e1567546891613-768x768.jpg 768w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_2a-e1567546891613.jpg 1078w" sizes="(max-width: 480px) 100vw, 480px" /></figure></div>



<p><strong>中路</strong>：人の行動を促す枠組みといえば<strong>ナッジ（nudge）</strong>もありますが、仕掛学との違いはどこにありますか？</p>



<p><strong>松村</strong>：どちらも新しい選択肢を与えて行動を促す点は同じですが、<strong>ナッジは無自覚的に選択</strong>し、<strong>仕掛けは自覚的に選択</strong>するという点が決定的な違いです。すなわち、仕掛けられる側が<strong>自身の選択を意識しているかどうか</strong>の違いです。</p>



<p>無意識的に選択をした場合、その行動を強要されたものとして<strong>反感（Back Fire）</strong>を生む可能性があります。これはナッジが抱える問題点です。一方で仕掛学では、自分が意識的に選択をするため、反感を生むことはありません。</p>



<p>また、仕掛学をマーケティングに利用したいという声もありますが、商品やサービスの<strong>認知獲得</strong>までは仕掛学の範囲であると考えています。<strong>購買</strong>までを目的にすると「買わされた」という反感を生む可能性があるからです。</p>



<p><strong>中路</strong>：なるほど。他にはどのような注意点がありますか？</p>



<p><strong>松村</strong>：「魔法陣を地面に書くと、人の行動にどのような変化が現れるか」という実験を、以前に大学内で行なったことがあります。人がたむろすることを防ぐことを目的とした仕掛けでしたが、その目的を理解せず、愉快犯的に模倣する人が現れました。これを予め想定して排除することは難しいのですが、仕掛けられる側の立場で、その仕掛けをどのように受け止めるかを考えておくことが大切だということです。</p>



<p><strong>中路</strong>：仕掛けられる側の立場で考えるとは、具体的にどのようなことでしょうか。</p>



<p><strong>松村</strong>：真実の口の中にアルコール消毒器を仕込んだ仕掛けを病院で実施するにあたり、注意書きを大きく記載するなどの工夫を行いました。アルコール過敏症の方に向けた配慮です。</p>



<h2><strong>楽しい経験がよい仕掛けを生む。</strong></h2>



<p><strong>中路：</strong>良い仕掛けを生むコツはありますか？</p>



<p><strong>松村</strong>：アイデアを出すプロセスは試行錯誤していますが、これという解はなさそうです。アイデアの発想法としては、オズボーンのチェックリストやIDEO社の<strong>デザイン思考（Design Thinking）</strong>などの手法がありますが、それで必ず良い仕掛けが生み出されるわけではありません。</p>



<p>仕掛けのポイントは&#8221;<strong>目的の二重性</strong>&#8220;で、<strong>仕掛けられた側の目的</strong>を作る必要があるのですが、アイデアの発想法だけではそれを生み出すに至らないことが多い。そこで利用するのが<strong>類推（Analogy）</strong>という手法です。</p>



<p>仕掛けられた側の&#8221;<strong>楽しい</strong>&#8220;目的を作るには、その人が過去にそれを楽しんだ経験があるかどうかが重要です。バスケットゴール付のゴミ箱の例でいうと、ボールをゴールに入れる&#8221;<strong>楽しい</strong>&#8220;経験が、総選挙の例でいうと、投票によって自分の意見を他の人と比較する&#8221;<strong>楽しい</strong>&#8220;経験があるからこそやってみたいと思うわけです。ライオンの口の例でいうと、ローマの休日の真実の口を知っていれば、やりたい気持ちはより高まるでしょう。このように、過去の経験を上手く紐づけて、体験したいという<strong>欲望（Desire）</strong>を作りだすことが、強力な誘引を持つ仕掛けの創出につながります。</p>



<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter is-resized"><img src="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_2b-e1567547279850-1024x682.jpg" alt="" class="wp-image-13497" width="480" height="320" srcset="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_2b-e1567547279850-1024x682.jpg 1024w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_2b-e1567547279850-300x200.jpg 300w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_2b-e1567547279850-768x512.jpg 768w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_2b-e1567547279850-570x380.jpg 570w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_2b-e1567547279850.jpg 1199w" sizes="(max-width: 480px) 100vw, 480px" /></figure></div>



<p><strong>中路</strong>：最後に、松村先生の今までの研究から導き出されたメッセージを一言で教えてください。</p>



<p><strong>松村</strong>：ひとことで言うと「<strong>仕掛けは人の興味や関心を具現化したもの</strong>」です。</p>



<p>良い仕掛けを思いついたとしても、実際に試してみると想定外のことが起きることは多々あります。そんな時でも、軌道修正を厭わず、試行錯誤を楽しむことが大切であり、それが仕掛けられた側の笑顔につながります。</p>



<p>良い仕掛けは、ただ問題を解決するのではなく、人の行動を変えて笑顔にしてくれます。<strong>仕掛学（Shikakeology）</strong>が、<strong>仕掛楽（Shikakenjoy）</strong>という楽しい問題解決の一つの方法として多くの人に広まり、世の中に良い仕掛けがたくさん生まれ、共有される社会になることを願っています。</p>



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										</item>
	<item>
		<title>松村先生の仕掛楽 #01</title>
		<link>https://uxmeetsdata.com/shikaenjoy-matsumura-01/</link>
				<pubDate>Sun, 25 Aug 2019 11:00:03 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Sho Nakaji]]></dc:creator>
		<category><![CDATA[Topics]]></category>
		<category><![CDATA[Interview]]></category>
		<category><![CDATA[Behavior Design]]></category>
		<category><![CDATA[Shikakeology]]></category>
		<category><![CDATA[UX Design]]></category>

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				<description><![CDATA[人を笑顔にする仕掛け。 本メディアのテーマである「UXとデータによる価値創発」に関わる領域で先駆的な取り組みを...<p class="more-link"><a href="https://uxmeetsdata.com/shikaenjoy-matsumura-01/" class="themebutton3">Read More</a></p>]]></description>
								<content:encoded><![CDATA[<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter is-resized"><img src="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura.jpg" alt="" class="wp-image-13589" width="480" height="240" srcset="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura.jpg 1000w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura-300x150.jpg 300w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura-768x384.jpg 768w" sizes="(max-width: 480px) 100vw, 480px" /></figure></div>



<h2><strong>人を笑顔にする仕掛け。</strong></h2>



<p>本メディアのテーマである「<strong>UXとデータによる価値創発</strong>」に関わる領域で先駆的な取り組みをされている専門家の方々を、uxmeetsdata.com編集部の中路（ナカジ）が訪ねる本企画。</p>



<p>今回は、大阪大学大学院経済学研究科教授の松村真宏（マツムラナオヒロ）先生にお話を伺いました。松村先生は、<strong>仕掛学（Shikakeology）</strong><sup id="footnote_plugin_tooltip_1" class="footnote_plugin_tooltip_text" onclick="footnote_moveToAnchor('footnote_plugin_reference_1');">1)</sup><span class="footnote_tooltip" id="footnote_plugin_tooltip_text_1"><a href="https://uxmeetsdata.com/shikakeology/">仕掛学って？</a></span><script type="text/javascript">	jQuery("#footnote_plugin_tooltip_1").tooltip({		tip: "#footnote_plugin_tooltip_text_1",		tipClass: "footnote_tooltip",		effect: "fade",		fadeOutSpeed: 100,		predelay: 400,		position: "top right",		relative: true,		offset: [10, 10]	});</script>という学問を創出し、日常にひっそりと隠れている<strong>仕掛け（Shikake）</strong>を問題解決の手段として体系立てた、この領域の先駆者です。</p>



<p>もともとはAI研究者であった松村先生が、どのような問題意識から仕掛けというアプローチに至ったのか、そして”<strong>人を笑顔にする良い仕掛け</strong>“を生み出す極意はどのようなものかについて語ってもらいました。</p>



<h2><strong>データでは本質がわからない。</strong></h2>



<p><strong>中路</strong>：まずは松村先生の研究テーマについて、これまでの経緯と合わせて教えてください。</p>



<p><strong>松村</strong>：もともとは漠然と<strong>人工知能（Artificial Intelligence：AI）</strong>をやりたいと思っていて、当時AIの研究をされていた大澤先生<sup id="footnote_plugin_tooltip_2" class="footnote_plugin_tooltip_text" onclick="footnote_moveToAnchor('footnote_plugin_reference_2');">2)</sup><span class="footnote_tooltip" id="footnote_plugin_tooltip_text_2"><a href="https://uxmeetsdata.com/data-delight-ohsawa-01/">大澤先生のデータ戯れ学</a></span><script type="text/javascript">	jQuery("#footnote_plugin_tooltip_2").tooltip({		tip: "#footnote_plugin_tooltip_text_2",		tipClass: "footnote_tooltip",		effect: "fade",		fadeOutSpeed: 100,		predelay: 400,		position: "top right",		relative: true,		offset: [10, 10]	});</script>のいる研究室を選びました。研究テーマは、修士までは<strong>検索エンジン（Search Engine）</strong>でしたが、博士課程で<strong>ソーシャルメディア（Social Media）</strong>へと移りました。具体的には、Yahoo!掲示板や2ちゃんねるなどの掲示板サイトのデータを用いて、どのような話が、どのように伝播するのか、またその影響力などについて研究していました。それは刺激的で楽しかったのですが、一方で生涯の研究テーマなのかという違和感もありました。</p>



<p><strong>中路</strong>：その違和感とは、どのようなものだったのでしょう？</p>



<p><strong>松村</strong>：<strong>ひとつの側面しか捉えていないデータでは、本質的なことはわからない</strong>ということです。人は、色々な人格を使い分けています。例えば、Yahoo!掲示板での発言データは、その人の人格のある側面でしかなく、それだけでその人の本質を捉えることはできません。</p>



<p>当時、社会心理学の分野の先生ともお話をしていて、人を対象としたデータの取り扱いの難しさや限界を感じ、何か違う方面に行きたいと考えていました。そんなおり、2012年にサバティカルという長期休暇を取得し、スタンフォード大学で研究をする機会を得ました。そこで今の研究テーマである<strong>仕掛学</strong>に本格的に取り組み始めたわけです。スタンフォード大学は挑戦的な研究テーマに対して理解のある大学で、デザインスクールの先生方や学生たちと人の行動について様々な側面から議論することができました。</p>



<p>そのあと日本に帰国し、それまでの研究成果を『<a rel="noreferrer noopener" aria-label="仕掛学―人を動かすアイデアのつくり方 (新しいタブで開く)" href="https://www.amazon.co.jp/dp/B01M0G5QEW" target="_blank">仕掛学―人を動かすアイデアのつくり方</a>』という本にまとめて2016年に出版しました。それが一部のマスコミやメディアに取り上げられ、企業や一般に認知が広まっていったわけです。</p>



<h2><strong>仕掛けとは人の行動を変える仕組み。</strong></h2>



<p><strong>中路</strong>：仕掛学とはどのような学問でしょうか？</p>



<p><strong>松村：仕掛学（Shikakeology）</strong>は、人の行動を変える&#8221;<strong>仕掛け</strong>&#8220;を研究する学問です。仕掛けと聞くと罠のような悪いイメージがあるかもしれませんが、仕掛学では世の中のたくさんの仕掛けの中から<strong>良い仕掛け</strong>を定義しています。具体的には<strong>公平性（Fairness）</strong>・<strong>誘引性（Attractiveness）</strong>・<strong>目的の二重性（Duality of purpose）</strong>の三つを満たすものです。</p>



<p><strong>公平性（Fairness）</strong>は、<strong>仕掛けによって誰も不利益を被らないこと</strong>です。人を騙したり不快にするものは仕掛けではないことになります。</p>



<p><strong>誘引性（Attractiveness）</strong>は、<strong>行動を誘うという仕掛けの性質のこと</strong>です。行動の変化を強要するものは仕掛けではないことになります。仕掛けが行動の選択肢を増やすもので、かつ自らの意思で選択できることが前提となります。</p>



<p><strong>目的の二重性（Duality of purpose）</strong>は、<strong>仕掛ける側の目的（問題を解決したい）と仕掛けられる側の目的（その行動をしたい）が異なること</strong>です。目的が一致するものは仕掛けではないことになります。</p>



<p>簡単に言うと、仕掛ける側も仕掛けられる側も&#8221;<strong>笑顔になる</strong>&#8220;とか&#8221;<strong>幸せになれる</strong>&#8220;仕掛けを指します。&#8221;<strong>人を欺く</strong>&#8220;とか&#8221;<strong>行動を強要する</strong>&#8220;仕掛けは対象としていません。</p>



<p>また、企業とのコラボレーションを積極的に行っています。最近では、今年の7月30日から8月5日の期間限定で、JR西日本グループと「大阪環状線総選挙」を実施しました。これは「あなたの好きな大阪環状線のアフター5の行き先は福島駅？それとも天満駅？」という問いに対して、<strong>階段を登ることで投票できる</strong>という仕掛けです。</p>



<p>本来の目的は、混雑や問題発生の要因となるエスカレーターの利用を減らし、階段の利用を促進したいというJR西日本グループが抱える課題の解決することでした。仕掛けの定義で説明すると、<strong>仕掛ける側の目的は階段の利用促進</strong>、<strong>仕掛けられる側の目的は選挙への投票や投票結果を見ること</strong>であり、双方の目的が異なる、すなわち<strong>目的の二重性</strong>があることがわかります。また、<strong>誰の不利益もなく</strong>、<strong>行動も強要ではなく自然に誘引</strong>されています。</p>



<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter is-resized"><img src="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_1a-1024x499.jpg" alt="" class="wp-image-13043" width="480" height="234" srcset="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_1a-1024x499.jpg 1024w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_1a-300x146.jpg 300w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_1a-768x374.jpg 768w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/09/xmd_se_matsumura_1a.jpg 1104w" sizes="(max-width: 480px) 100vw, 480px" /><figcaption>大阪環状線総選挙<br>出典：JR西日本</figcaption></figure></div>



<p><strong>中路</strong>：このような企業とのコラボレーションによる大きなイベントが多いのでしょうか？</p>



<p><strong>松村</strong>：企業とのコラボレーションも多数ありますが、大学の中や、大学の近くの商店街の中でもたくさん仕掛けの実験を行なっています。商店街のある通りを歩くと、研究目的で実施した仕掛けを五つ発見した、ということも少なくありません。学期末はゼミの発表会があるので、学生が新しい仕掛けを仕込んでいる姿が見られます。発表では、良い仕掛けが予想通りの結果をもたらしたものもあれば、想定外のことが起きたものもありますね。</p>



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										</item>
	<item>
		<title>仕掛学って？</title>
		<link>https://uxmeetsdata.com/shikakeology/</link>
				<pubDate>Thu, 21 Mar 2019 11:03:22 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Atsushi Sugawa]]></dc:creator>
		<category><![CDATA[UX]]></category>
		<category><![CDATA[Behavior Design]]></category>
		<category><![CDATA[Behavior Design]]></category>
		<category><![CDATA[Nudge Theory]]></category>
		<category><![CDATA[Shikakeology]]></category>

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				<description><![CDATA[ついしたくなる。 日常生活の中で、ある行動を「ついしたくなる」あるいは「ついしていた」という経験は誰しもあると...<p class="more-link"><a href="https://uxmeetsdata.com/shikakeology/" class="themebutton3">Read More</a></p>]]></description>
								<content:encoded><![CDATA[<h2><strong>ついしたくなる。</strong></h2>



<p>日常生活の中で、ある行動を「<strong>ついしたくなる</strong>」あるいは「<strong>ついしていた</strong>」という経験は誰しもあると思いますが、それが誰かの「<strong>仕掛け</strong>」によって意図的に引き起こされているとしたらどうでしょうか。</p>



<p>「<strong>した方がよい</strong>」とわかっていることでも、なかなかできないことはたくさんあります。例えば、オフィスの書類は整理整頓されていたほうがよいに決まっていますし、部屋も綺麗に片付いていたほうがよいに決まっています。一方で、「した方がよい」と頭でわかっていても、<strong>それを指示や強制されると、素直に従おうという気持ちになれない</strong>こともあります。</p>



<p>その「した方がよい」行動を、指示や強制ではなく「<strong>ついしたくなる</strong>」状態を意図的に作り出すことで誘引できれば、身の回りのさまざまな問題が解決される可能性があります。そのような問題解決の手法が「<strong>仕掛け</strong>」であり、それを研究する学問として大阪大学の松村真宏教授により提唱されたのが<strong>仕掛学（Shikakeology）</strong>です。詳しく知りたい方は、松村教授の著書「<a rel="noreferrer noopener" aria-label="仕掛学―人を動かすアイデアのつくり方 (新しいタブで開く)" href="https://www.amazon.co.jp/dp/B01M0G5QEW/" target="_blank">仕掛学―人を動かすアイデアのつくり方</a>」を一読いただければと思いますので、ここでは簡単に紹介します。</p>



<p>オフィスの書類を整理整頓するという問題について考えてみます。「整理整頓」と書かれた張り紙を見たことがある人は多いと思いますが、それにほとんど効果はないこともまた、多くの人が経験済みのことでしょう。一方で下の図のように、書類ボックスの背表紙に斜線を引くと、なんとなく順番通りに並べようという気持ちが働くのではないでしょうか。</p>



<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter is-resized"><img src="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_shikake_a-e1555132010654.jpg" alt="" class="wp-image-4261" width="480" height="240" srcset="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_shikake_a-e1555132010654.jpg 719w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_shikake_a-e1555132010654-300x150.jpg 300w" sizes="(max-width: 480px) 100vw, 480px" /><figcaption>出典：MANA-Biz</figcaption></figure></div>



<p>部屋を綺麗に片付けるという問題について考えてみます。おもちゃが散らかった部屋を片付けるよう子供に指示することは、ほとんど意味がありません。こちらも下の図のように、ゴミ箱の上にバスケットゴールがあると、ついシュートしたくなり、結果的におもちゃがゴミ箱に回収されるかもしれません。</p>



<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter"><img src="http://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_shikake_b.jpg" alt="" class="wp-image-4287" srcset="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_shikake_b.jpg 300w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_shikake_b-210x300.jpg 210w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /><figcaption>出典：MANA-Biz</figcaption></figure></div>



<h2><strong>三つの要件。</strong></h2>



<p>仕掛けは「<strong>行動の選択肢を増やすもの</strong>」であると、仕掛学では定義されています。新たに登場した行動の選択肢のほうが魅力的であれば自ら進んで行動を変えるでしょうし、そうでなければこれまで通り行動するだけ。<strong>もともとの行動を禁止されるわけでも、新たな行動を強要されるわけでもありません</strong>。選択は自らの意思によるものであり、ゆえに<strong>不快になることもありません</strong>。</p>



<p>その「行動の選択肢を増やすもの」である仕掛けには、<strong>公平性</strong>・<strong>誘引性</strong>・<strong>目的の二重性</strong>の三つの要件があり、それらすべてを満たすものこそが仕掛けであると、仕掛学では定義されています。</p>



<p><strong>公平性（Fairness）</strong>は、<strong>仕掛けによって誰も不利益を被らないこと</strong>で、逆に人を騙したり不快にするものは仕掛けではないことになります。</p>



<p><strong>誘引性（Attractiveness）</strong>は、<strong>行動を誘うという仕掛けの性質のこと</strong>で、逆に行動の変化を強要するものは仕掛けではないことになります。なお、仕掛けが行動の選択肢を増やすもので、かつ自らの意思で選択できることが前提となります。</p>



<p><strong>目的の二重性（Duality of purpose）</strong>は、<strong>仕掛ける側の目的（問題を解決したい）と仕掛けられる側の目的（その行動をしたい）が異なること</strong>で、逆に目的が一致するものは仕掛けではないことになります。</p>



<p>バスケットゴールの例でいうと、<strong>設置することで誰かが困るわけではなく</strong>（公平性）、<strong>子供はついおもちゃをシュートしたくなり</strong>（誘引性）、<strong>子供の目的であるシュートをして遊ぶことが、結果的に親の目的である部屋の片付けになっている</strong>（目的の二重性）ということになります。</p>



<p>また、この三つの要件のことを、それぞれの英語の頭文字をとって<strong>FAD要件</strong>と呼びます。</p>



<h2><strong>無意思的なナッジ、意思的な仕掛け。</strong></h2>



<p>「<a href="https://uxmeetsdata.com/behavior-design/">行動デザインって？</a>」でも触れたとおり、社会の多くの問題は、ヒトの行動によって引き起こされており、それを意図的に変えることができれば、多くの問題が解決されるはずです。このように、なんらかの問題解決のためにヒトの行動や習慣を変えるよう意図的に仕向ける企てのことを<strong>行動デザイン（Behavior Design）</strong><sup id="footnote_plugin_tooltip_1" class="footnote_plugin_tooltip_text" onclick="footnote_moveToAnchor('footnote_plugin_reference_1');">1)</sup><span class="footnote_tooltip" id="footnote_plugin_tooltip_text_1"><a href="https://uxmeetsdata.com/behavior-design/">行動デザインって？</a></span><script type="text/javascript">	jQuery("#footnote_plugin_tooltip_1").tooltip({		tip: "#footnote_plugin_tooltip_text_1",		tipClass: "footnote_tooltip",		effect: "fade",		fadeOutSpeed: 100,		predelay: 400,		position: "top right",		relative: true,		offset: [10, 10]	});</script>といいます。</p>



<p>行動デザインの手法には「<a href="https://uxmeetsdata.com/nudge-theory/">いまさら聞けないナッジ理論</a>」でもご紹介した<strong>ナッジ（Nudge）</strong>がありますが、仕掛けもそのひとつと言えるでしょう。ただ、ナッジが「<strong>選択者の自由意思にほとんど影響を与えることなく、それでいて合理的な判断へと導くための制御あるいは提案の枠組み</strong>」すなわち「<strong>知らぬ間に最良の選択をさせる仕組み</strong>」であるのに対し、仕掛けは「<strong>行動の選択肢を増やすもの</strong>」であり「<strong>複数の選択肢があることを認識した上で、意思をもって（仕掛ける側が期待する）選択をしてもらう仕組み</strong>」であるため、選択における意思の強さに違いがあるように思います。</p>



<p>とはいえ、<strong>与えられた選択肢が同じでも、選択の意思の強さは人により異なり</strong>ますし、結果として仕掛ける側と仕掛けられる側の双方にとって最良の選択となることを目的や成果とする点は同じなので、取り上げられる事例も共通のものが多くあります。</p>



<p>ナッジ理論の有名な事例として「トイレのハエ」があります。オランダのアムステルダムのスキポール空港にある男子トイレの小便器に描かれたハエの絵は、利用者の「標的に命中させたい」という心理を喚起することで尿の飛散を抑制し、清掃費を80%削減させたと報告されています。</p>



<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter is-resized"><img src="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_bd_c-e1555118416331.jpg" alt="" class="wp-image-3478" width="480" height="240" srcset="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_bd_c-e1555118416331.jpg 560w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_bd_c-e1555118416331-300x150.jpg 300w" sizes="(max-width: 480px) 100vw, 480px" /><figcaption>出典：Mini Post from England</figcaption></figure></div>



<p>この「標的に命中させるよう放尿する」という選択の意思の強さは、人により異なります。ただその違いによって、結果として尿の飛散が抑制されるという効果が変わるわけではありません。</p>



<p>いずれにせよ、仕掛けとナッジはともに、<strong>実際にヒトの行動を変容させ、社会問題を解決する</strong>行動デザインの手法として、世界中でさまざまな問題解決のアイデアを創発し、共有し、普及していくことが期待されています。</p>
]]></content:encoded>
										</item>
	<item>
		<title>いまさら聞けないゲーム理論</title>
		<link>https://uxmeetsdata.com/game-theory/</link>
				<pubDate>Thu, 14 Mar 2019 09:37:54 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Atsushi Sugawa]]></dc:creator>
		<category><![CDATA[UX]]></category>
		<category><![CDATA[Behavior Design]]></category>
		<category><![CDATA[Behavior Design]]></category>
		<category><![CDATA[Game Theory]]></category>
		<category><![CDATA[UX Design]]></category>

		<guid isPermaLink="false">https://uxmeetsdata.com/?p=3655</guid>
				<description><![CDATA[ヒトは駆け引きをする。 ゲーム理論（Game Theory）は、複数の主体が関わる意思決定の相互依存関係を分析...<p class="more-link"><a href="https://uxmeetsdata.com/game-theory/" class="themebutton3">Read More</a></p>]]></description>
								<content:encoded><![CDATA[<h2><strong>ヒトは駆け引きをする。</strong></h2>



<p><strong>ゲーム理論（Game Theory）</strong>は、<strong>複数の主体が関わる意思決定の相互依存関係を分析し、数理モデルで表現する</strong>学問で、数学者ジョン・フォン・ノイマンと経済学者オスカー・モルゲンシュテルンの共著書「ゲームの理論と経済行動」により1944年に誕生しました。相互依存関係がある状態では、自分の行動が相手の利害に影響を及ぼし、また逆に相手の行動も自分の利害に影響を及ぼすため、互いに相手の出方を読んで行動するなどの<strong>駆け引き</strong>が行われます。したがってゲーム理論は、駆け引きを考える学問ともいえます。</p>



<p>ゲーム理論が生まれた背景は、当時の経済学が、<strong>一般均衡理論（General Equilibrium Theory）</strong>といわれる<strong>需要と供給からなる市場原理のメカニズムの分析</strong>が中心であったものの、経済活動には市場原理では説明できないものが多くあり、その根底には駆け引きが存在すると考えられたことにあります。「<a href="https://uxmeetsdata.com/nudge-theory/">いまさら聞けないナッジ理論</a>」で、行動経済学が従来の経済学では前提としない<strong>ヒトの非合理性</strong>に着目したことに触れましたが、状況としては似ているでしょう。</p>



<p>また、数学者ジョン・ナッシュの存在も、ゲーム理論を語る上で欠かすことができません。ナッシュは1950年の論文で、<strong>ナッシュ均衡</strong>と呼ばれる概念を提示しました。それは、ゲーム理論の代表例としておなじみの<strong>囚人のジレンマ</strong>をわかりやすく説明してくれます。</p>



<h2><strong>ナッシュ均衡 ≠ パレート最適。</strong></h2>



<p><strong>囚人のジレンマ（Prisoners&#8217; Dilemma）</strong>は、ある犯罪の容疑で捕まった二人の容疑者が、<strong>意思疎通の出来ない別々の部屋</strong>で尋問を受けている状況で発生する<strong>非協力ゲーム（Noncooperative Game）</strong>です。非協力ゲームとは、プレイヤーが互いに提携しないゲームを指します。</p>



<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter is-resized"><img src="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_prisoner-e1555131862796.jpg" alt="" class="wp-image-3772" width="480" height="241" srcset="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_prisoner-e1555131862796.jpg 450w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_prisoner-e1555131862796-300x150.jpg 300w" sizes="(max-width: 480px) 100vw, 480px" /><figcaption>出典：Paylessimages</figcaption></figure></div>



<p>二人は拳銃の不法所持で現行犯逮捕されたわけですが、さらに強盗の容疑があります。二人が取りうる選択肢は「自白する」「自白しない」のいずれかですが、自白の状況によって受ける刑罰の重さが、以下のように異なるとします。</p>



<ul><li><strong>一人のみ自白した場合</strong>、自白した方は無罪、自白しなかった方は懲役１０年となる。</li><li><strong>二人とも自白しなかった場合</strong>、二人とも懲役２年となる。</li><li><strong>二人とも自白した場合</strong>、二人とも懲役５年となる。</li></ul>



<p>この場合、二人はどのような選択をするでしょうか。それぞれにとって最良の選択は、<strong>自分のみが自白</strong>して無罪になることです。また、二人の懲役の合計年数が最小となることを全体最適とするなら、<strong>二人とも自白しない</strong>場合が４年となり、全体最適となります。これを経済学では<strong>パレート最適（Paretian Optimum）</strong>といいます。</p>



<p>なおこの状況では、自分が自白せずに相手が裏切って自白した場合、懲役１０年という最悪の結果となるため、そのリスクを回避するためには自白するほかありません。すなわち、<strong>二人とも「自白する」という選択しかできず、その選択を変える誘因がない</strong>ことになります。このように、相手の状態に関わらず自分にとって最良である選択を<strong>支配戦略（Dominant Strategy）</strong>といい、互いに自分の選択を変える誘因がなく安定した状態を<strong>ナッシュ均衡（Nash Equilibrium）</strong>といいます。</p>



<p>そして囚人のジレンマでは、<strong>それぞれが合理的かつ功利的な選択をしているナッシュ均衡と、全体最適であるパレート最適が不一致</strong>となります。これがジレンマと呼ばれる所以です。</p>



<h2><strong>協力ゲームをデザインする。</strong></h2>



<p>ゲーム理論では、与えられたゲームでヒトがどう行動するかを考えますが、逆に<strong>ヒトを意図的に行動させるためのゲームのルールを考える</strong>こともできます。囚人のジレンマでは「自白の状況によって受ける刑罰の重さが異なる」というゲームのルールを検事が設定したことにより、二人は自白せざるを得なくなったわけです。これは<strong>司法取引</strong>と言われます。</p>



<p>仮に検事がこの司法取引を提示しなければどうなるでしょうか。二人とも黙秘を決め込めば懲役２年で済むわけですから、二人の支配戦略は当然ながら「自白しない」となり、それがナッシュ均衡となります。すなわち<strong>ナッシュ均衡とパレート最適が一致する</strong>わけです。この状態は、囚人の二人にとっては望ましいですが、検事にとっては望ましくありません。そこで検事は司法取引という形でルールの変更を行い、二人が自白せざるを得ない状況を意図的に作り出したわけです。これを<strong>ゲームチェンジ（Game Change）</strong>といいます。</p>



<p>ヒトに望ましい行動をとらせるためにゲームのルールを設定するというゲーム理論の戦略は、さまざまな領域で応用されています。アメリカでは、自白を誘導するための司法取引が頻繁に行われています。日本には、<strong>独占禁止法による課徴金減免制度（リニエンシー制度）</strong>があります。これは、談合やカルテルを自主申告した企業は課徴金が減免されるというもので、隠したあとで摘発されて高額の課徴金を支払うリスクよりも、事前に申告することで減免される利益を選択させるルールを設定しています。</p>



<p>「<a href="https://uxmeetsdata.com/behavior-design/">行動デザインって？</a>」でも触れたとおり、なんらかの問題解決のためにヒトの行動や習慣を変えるよう意図的に仕向ける企てのことを<strong>行動デザイン（Behavior Design）</strong><sup id="footnote_plugin_tooltip_1" class="footnote_plugin_tooltip_text" onclick="footnote_moveToAnchor('footnote_plugin_reference_1');">1)</sup><span class="footnote_tooltip" id="footnote_plugin_tooltip_text_1"><a href="https://uxmeetsdata.com/behavior-design/">行動デザインって？</a></span><script type="text/javascript">	jQuery("#footnote_plugin_tooltip_1").tooltip({		tip: "#footnote_plugin_tooltip_text_1",		tipClass: "footnote_tooltip",		effect: "fade",		fadeOutSpeed: 100,		predelay: 400,		position: "top right",		relative: true,		offset: [10, 10]	});</script>といいます。<strong>ヒトの非合理性</strong>に着目した考え方や手法に行動経済学やナッジ理論がありますが、<strong>ヒトの駆け引き</strong>に着目した考え方や手法がゲーム理論です。意思決定には、多くの場合に駆け引きが関与します。それをうまく理解し、ゲームのルールを設定することで、さまざまな社会問題を解決することができるかもしれません。</p>



<p>非協力ゲームという言葉を紹介しましたが、それに対して<strong>協力ゲーム（Cooperative Game）</strong>という言葉もあります。協力ゲームとは、プレイヤーが互いに提携するゲームを指します。囚人のジレンマでは、意思疎通ができず、かつ互いに裏切る可能性があるために非協力ゲームとなり、ナッシュ均衡とパレート最適が不一致となりました。しかしながら、設定されるルールや、互いの信頼関係によっては協力ゲームとなり、ナッシュ均衡とパレート最適が一致する可能性があります。</p>



<p>世界では、限られた土地や資源の奪い合い、環境問題に対する非協力的な態度など、社会全体のパレート最適にならないこと、すなわち<strong>社会的ジレンマ</strong>を多く抱えています。レン・フィッシャー著「<a rel="noreferrer noopener" aria-label="日常生活に潜むゲーム理論 (新しいタブで開く)" href="https://www.amazon.co.jp/dp/482228445X" target="_blank">日常生活に潜むゲーム理論</a>」ではそれを「共有地の悲劇」という言葉で表現しています。このような<strong>社会的ジレンマを回避する協力ゲームをデザインすること</strong>こそが、ゲーム理論の本質的な意味なのかもしれません。</p>
]]></content:encoded>
										</item>
	<item>
		<title>いまさら聞けないナッジ理論</title>
		<link>https://uxmeetsdata.com/nudge-theory/</link>
				<pubDate>Wed, 13 Mar 2019 11:58:57 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Atsushi Sugawa]]></dc:creator>
		<category><![CDATA[UX]]></category>
		<category><![CDATA[Behavior Design]]></category>
		<category><![CDATA[Behavior Design]]></category>
		<category><![CDATA[Nudge Theory]]></category>
		<category><![CDATA[Shikakeology]]></category>

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				<description><![CDATA[ヒトは非合理的である。 2017年のノーベル経済学賞は、行動経済学の権威である、シカゴ大学のリチャード・セイラ...<p class="more-link"><a href="https://uxmeetsdata.com/nudge-theory/" class="themebutton3">Read More</a></p>]]></description>
								<content:encoded><![CDATA[<h2><strong>ヒトは非合理的である。</strong></h2>



<p>2017年のノーベル経済学賞は、行動経済学の権威である、シカゴ大学のリチャード・セイラー教授が受賞しました。受賞理由は<strong>行動経済学の理論的発展への貢献</strong>です。そのセイラー教授の行動経済学理論の中核をなすのが<strong>ナッジ理論</strong>であり、著書である「<a rel="noreferrer noopener" aria-label="実践 行動経済学 (新しいタブで開く)" href="https://www.amazon.co.jp/dp/4822247473" target="_blank">実践 行動経済学</a>」（原題: Nudge）も大きな話題となりましたが、ここで改めて簡単におさらいしたいと思います。</p>



<p><strong>行動経済学（Behavioral Economics）</strong>は、その名のとおり経済学のひとつであり、2002年にプリンストン大学のダニエル・カーネマン教授がノーベル経済学賞を受賞して以来、注目されるようになりました。従来の経済学との違いは<strong>心理学的に観察された事実</strong>を取り入れている点であり、そのため<strong>心理経済学（Psychology Economics）</strong>とも言われます。</p>



<p>従来の経済学は、<strong>ヒトは合理的かつ功利的な判断をする</strong>、すなわち全ての選択肢の中で最も得するものを選択することが前提となっています。しかし、現実にはそんなことはあり得ません。そもそも人間は、全ての選択肢の情報を把握しているわけではなく、これを<strong>情報の非対称性</strong>といいます。さらに、判断するための時間は有限であり、そこには必ず<strong>主観的な選択</strong>が発生します。そして何よりも人間は<strong>感情に左右される</strong>生き物であり、必ずしも理性的な判断をするわけではありません。</p>



<p>そこで、従来の経済学では説明できない<strong>ヒトの非合理的な行動</strong>について、心理学的な視点を取り入れながら理論的に説明しようとする試みがなされるようになったわけです。</p>



<p>行動経済学の代表的な理論に<strong>プロスペクト理論（Prospect theory）</strong>があります。これは不確実性のもとに行われる意思決定のモデルのひとつで、人間は利益を得られる場面では「確実に獲得すること」を重視し、逆に損失を被る場面では「最大限に回避すること」を重視する、つまり「<strong>得をするよりも損をしたくない</strong>」という行動心理を理論化したものです。</p>



<p>プロスペクト理論がよくわかる実験があります。「100%の確率で90万円もらえる」「90%の確率で100万円もらえる」という二つのくじがある場合、多くの人が前者を選びます。どちらの期待値も90万円ですが、<strong>確実に90万円もらえるほうを選択</strong>するわけです。一方で、「100%の確率で90万円を失う」「90%の確率で100万円を失う」という二つのくじがある場合、多くの人が後者を選びます。どちらの期待値も-90万円ですが、確実に90万円を失うよりも、100万円を失うリスクを負ってでも<strong>損をしない10%の確率に望みをかける</strong>わけです。このような行動は<strong>損失回避バイアス</strong>と呼ばれています。カーネマン教授は、このプロスペクト理論でノーベル賞を受賞しました。</p>



<h2><strong>選択アーキテクチャ。</strong></h2>



<p>そして<strong>ナッジ理論（Nudge Theory）</strong>もまた、行動経済学を代表的する理論のひとつです。ナッジ（Nudge）は直訳すると「ヒジでちょんと突く」という意味で、ナッジ理論は、小さなきっかけを与えることで人々の行動を変える戦略理論です。</p>



<p>ナッジ理論の有名な事例として「トイレのハエ」があります。オランダのアムステルダムのスキポール空港にある男子トイレの小便器に描かれたハエの絵は、利用者の「標的に命中させたい」という心理を喚起することで尿の飛散を抑制し、清掃費を80%削減させたと報告されています。</p>



<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter is-resized"><img src="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_bd_c-e1555118416331.jpg" alt="" class="wp-image-3478" width="480" height="240" srcset="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_bd_c-e1555118416331.jpg 560w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_bd_c-e1555118416331-300x150.jpg 300w" sizes="(max-width: 480px) 100vw, 480px" /><figcaption>出典：Mini Post from England</figcaption></figure></div>



<p>ナッジ理論は、<strong>選択アーキテクチャ（Choice Architecture）</strong>という概念のもとに構築されています。これは「<strong>選択者の自由意思にほとんど影響を与えることなく、それでいて合理的な判断へと導くための制御あるいは提案の枠組み</strong>」であると定義されています。簡単にいえば「<strong>知らぬ間に最良の選択をさせる仕組み</strong>」です。</p>



<p>また、<strong>選択アーキテクチャはいつ必要されるのか</strong>に対しては、「<strong>判断が難しくてまれにしか起こらず、フィードバックが得られず、状況の文脈を簡単に理解できる言葉に置き換えるのが難しい意思決定をするとき</strong>」と説明されています。要するに「<strong>考えても最良の選択の意思決定ができないとき</strong>」であり、その際には「知らぬ間に最良の選択をさせる仕組み」が必要だということです。</p>



<p>「実践 行動経済学」では、「トイレのハエ」以外にも、以下のような事例が紹介されています。</p>



<blockquote class="wp-block-quote"><p>調査によると、人々がカフェテリアでデザートを取る量は、他の料理とデザートとの相対的な位置関係（場所）に影響されることが示された。「置かれた場所によって食べたくなるデザートの量が変わる」という点について合理的な理由は特にないものの（実際、私たちの多くは自分がこうしたトリックに影響されないと思いたいはずだ）、これはどうやら広くあてはまる作用のようだ。</p><cite>実践 行動経済学</cite></blockquote>



<blockquote class="wp-block-quote"><p>労働者は、たとえ年間ベースでは同じ額だとしても、月払いの場合よりも隔週払いの方が、給与のうち貯蓄に回す割合が増えるようだ。こうした現象に対する説明として、人は隔週払いであっても1か月単位でお金の使い道を考えるため、支払いの3回ある月が1年に2回あると、そのぶん貯蓄にまわす額が多くなるという仮説がある。興味深いことに、英国に比べ米国の方が、隔週払いの給与制度がはるかに一般的だと思う。僕の知る限り、英国では、ほぼ例外なく給与は月払いだ（また、税金システムもそれに合わせて設定されている）。</p><cite>実践 行動経済学</cite></blockquote>



<h2><strong>ナッジの拡がり。</strong></h2>



<p>行動経済学ならびにナッジ理論は、ヒトの非合理的な行動を理論的に説明する学問ですが、本来の目的は説明することではなく、それを通して<strong>問題解決をすること</strong>にあります。</p>



<p>「<a href="https://uxmeetsdata.com/behavior-design/">行動デザインって？</a>」でも触れたとおり、社会の多くの問題は、ヒトの行動によって引き起こされています。そのヒトの行動を意図的に変えることができれば、多くの問題が解決されるはずです。このように、なんらかの問題解決のためにヒトの行動や習慣を変えるよう意図的に仕向ける企てのことを<strong>行動デザイン（Behavior Design）</strong><sup id="footnote_plugin_tooltip_1" class="footnote_plugin_tooltip_text" onclick="footnote_moveToAnchor('footnote_plugin_reference_1');">1)</sup><span class="footnote_tooltip" id="footnote_plugin_tooltip_text_1"><a href="https://uxmeetsdata.com/behavior-design/">行動デザインって？</a></span><script type="text/javascript">	jQuery("#footnote_plugin_tooltip_1").tooltip({		tip: "#footnote_plugin_tooltip_text_1",		tipClass: "footnote_tooltip",		effect: "fade",		fadeOutSpeed: 100,		predelay: 400,		position: "top right",		relative: true,		offset: [10, 10]	});</script>といいます。つまり、ナッジ理論は行動デザインの手法のひとつと言えます。</p>



<p>その意味では、<strong>すでに存在するナッジや選択アーキテクチャの事例を分析し、知識として体系化すること</strong>も重要ですが、その体系化された知識をもとに、<strong>社会問題の原因となっているヒトの行動ひとつひとつをどうナッジしていくかというアイデアを、世界中のみんなで考え、実践し、共有すること</strong>がより重要です。当然ながら、そのための基盤や枠組みも必要となります。</p>



<p>著書「実践 行動経済学」では、ナッジリストを増やすべく、公式サイト「<a rel="noreferrer noopener" aria-label="Nudge (新しいタブで開く)" href="http://nudges.org" target="_blank">Nudge</a>」にアイデアを寄せてもらうよう呼びかけています。また、欧米諸国では政府や自治体がナッジ活用を主導し、成果をあげています。</p>



<p>たとえばアメリカでは、老後資金を蓄えるための確定拠出型年金プランへの加入率の低さが問題となっていましたが、初期設定を「加入しない」から「加入する」に変更することで、加入者を増加させることに成功しました。ヒトには無意識に現状維持しようとする性質があるため、<strong>選んでほしい選択肢をデフォルトにする選択アーキテクチャ</strong>が功を奏するというわけです。</p>



<p>またイギリスでは、<strong>ナッジ・ユニット</strong>と呼ばれる<strong>Behavioral Insights Team（BIT）</strong>を2010年に立ち上げ、<strong>公共サービスをコスト効率的かつ市民が利用しやすいものにする</strong>、<strong>人間の行動に関するより現実的なモデルを政策に導入して成果を改善する</strong>、<strong>人々が自分たちにとってより良い選択ができるようにする</strong>、ということを目的にナッジ活用を推進しています。なおナッジ・ユニットは、さまざまな実証実験で成果をあげ、現在は世界各国や国際機関を顧客とするコンサルティング会社としてグローバルに活動しています。</p>



<p>日本でも2017年4月に、日本版ナッジ・ユニットである<strong>BEST（Behavioral Sciences Team）</strong>が環境庁により設立されました。BESTは、関係府省や自治体などによる産学官連携の取り組みで、ナッジを含む行動科学の政策への活用と、行動変容の促進を通じたイノベーションの創出や実装に関する実証事業を推進しています。また、行動経済学会と共同で、ナッジに関するコンテストやアイデアソンなどの開催も行なっています。</p>



<p>このように、ナッジ理論は机上の学問の枠を超え、<strong>実際にヒトの行動を変容させ、社会問題を解決する</strong>実学としての拡がりを見せつつあります。</p>
]]></content:encoded>
										</item>
	<item>
		<title>行動デザインって？</title>
		<link>https://uxmeetsdata.com/behavior-design/</link>
				<pubDate>Wed, 20 Feb 2019 00:38:32 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Atsushi Sugawa]]></dc:creator>
		<category><![CDATA[UX]]></category>
		<category><![CDATA[Behavior Design]]></category>
		<category><![CDATA[Behavior Design]]></category>
		<category><![CDATA[Nudge Theory]]></category>
		<category><![CDATA[Shikakeology]]></category>

		<guid isPermaLink="false">https://uxmeetsdata.com/?p=2165</guid>
				<description><![CDATA[ヒトの行動を意図的に変える。 社会の多くの問題は、ヒトの行動によって引き起こされています。例えば、肥満率は経済...<p class="more-link"><a href="https://uxmeetsdata.com/behavior-design/" class="themebutton3">Read More</a></p>]]></description>
								<content:encoded><![CDATA[<h2><strong>ヒトの行動を意図的に変える。</strong></h2>



<p>社会の多くの問題は、ヒトの行動によって引き起こされています。例えば、肥満率は経済発展とともに上昇することが知られていますが、これはひとりひとりの「食べ過ぎ」や「運動不足」という行動や習慣が積み上げられた結果です。</p>



<p>肥満はいまや世界を脅かす社会問題です。2017年にスウェーデンのストックホルムで開催された学会「EAT ストックホルム フード フォーラム」での発表によると、世界人口の10%以上が肥満で、33%が過体重となっており、また肥満人口は調査が開始された1980年に比べて、73か国で2倍以上に急増、それ以外の国でも増加が目立っているとのことです。</p>



<p>肥満は、あらゆる成人病の主要因のひとつであり、医療費の増大にもつながっています。成人病患者を救う医療技術は日々進化していますが、コストがかかり過ぎます。それよりも、肥満になることを防ぐほうが経済合理性は高そうです。</p>



<p>肥満率の上昇がヒトの行動の積み重ねの結果だとするならば、逆に言えば、<strong>ヒトの行動を意図的に変えることができれば、肥満率の上昇を抑えられる</strong>ことになります。とはいえ簡単なことではありません。</p>



<h2><strong>ピアノの階段。</strong></h2>



<p>ヒトの行動を意図的に変えるとは、どういうことでしょうか。有名な事例として「ピアノの階段」があります。これは2009年にスウェーデンのストックホルムのとある地下鉄駅の構内で行われた実証実験で、<strong>駅の利用者にエスカレーターではなく階段を使ってもらうにはどのようにすればいいか</strong>、という問いに対する解決策として提案されたものです。</p>



<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter is-resized"><img src="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_bd_a-e1555118004509.jpg" alt="" class="wp-image-3476" width="480" height="240" srcset="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_bd_a-e1555118004509.jpg 500w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_bd_a-e1555118004509-300x150.jpg 300w" sizes="(max-width: 480px) 100vw, 480px" /><figcaption>出典：ナリナリ ドットコム</figcaption></figure></div>



<p>こちらの写真のように階段をピアノの鍵盤に見立てて、階段を上がると音が奏でられるようにしたところ、普段より66%も多くの人がエスカレーターではなく階段を利用したということです。</p>



<p>この実証実験を仕掛けたのは、自動車メーカーのフォルクスワーゲンで、同社が提唱する<strong>ファン・セオリー（Fun Theory）</strong>というプロジェクトの一環として行われました。ファン・セオリーは「楽しさ」こそが人々の行動を変える一番シンプルで簡単な方法だ、という考え方です。</p>



<p>この「ピアノの階段」は、ストックホルムの事例にとどまらず、アメリカのハリウッドやイタリアのミラノ、中国の杭州、韓国のソウルなど世界中に拡散しました。日本でもJR岐阜駅の駅ビル内に「ドレミ階段」として2012年に設置されています。また最近では、登った段数分の消費カロリーが表示された階段も増えてきています。</p>



<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter is-resized"><img src="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_bd_b-e1555131570903-1024x513.jpg" alt="" class="wp-image-3477" width="480" height="246"/><figcaption>出典：京都市交通局</figcaption></figure></div>



<p>このように、なんらかの問題解決のためにヒトの行動や習慣を変えるよう意図的に仕向ける企てのことを<strong>行動デザイン（Behavior Design）</strong>といいます。</p>



<h2><strong>目的の二重性。</strong></h2>



<p>行動デザインの基本思想は、さまざまな分野で研究あるいは応用されています。<strong>ゲーミフィケーション（Gamification）</strong>はその代表例でしょう。これは、ゲームの「ハマる」仕組みを非エンタテイメント領域に応用し、ユーザーの行動を変化させる考え方で、調査会社のガートナーによって提唱されました。すでに様々なビジネスや教育の現場で活用されています。</p>



<p>経済学の分野では、2017年のノーベル経済学賞の受賞者で、行動経済学の権威である、シカゴ大学のリチャード・セイラー教授が提唱した<strong>ナッジ理論（Nudge Theory）</strong><sup id="footnote_plugin_tooltip_1" class="footnote_plugin_tooltip_text" onclick="footnote_moveToAnchor('footnote_plugin_reference_1');">1)</sup><span class="footnote_tooltip" id="footnote_plugin_tooltip_text_1"><a href="https://uxmeetsdata.com/nudge-theory/">いまさら聞けないナッジ理論</a></span><script type="text/javascript">	jQuery("#footnote_plugin_tooltip_1").tooltip({		tip: "#footnote_plugin_tooltip_text_1",		tipClass: "footnote_tooltip",		effect: "fade",		fadeOutSpeed: 100,		predelay: 400,		position: "top right",		relative: true,		offset: [10, 10]	});</script>があります。ナッジ（Nudge）は直訳すると「ヒジでちょんと突く」という意味で、ナッジ理論は、小さなきっかけを与えることで人々の行動を変える戦略理論です。</p>



<p>ナッジ理論の有名な事例として「トイレのハエ」があります。オランダのアムステルダムのスキポール空港にある男子トイレの小便器に描かれたハエの絵は、利用者の「標的に命中させたい」という心理を喚起することで尿の飛散を抑制し、清掃費を80%削減させたと報告されています。</p>



<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter is-resized"><img src="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_bd_c-e1555118416331.jpg" alt="" class="wp-image-3478" width="480" height="241" srcset="https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_bd_c-e1555118416331.jpg 560w, https://uxmeetsdata.com/wp-content/uploads/2019/03/xmd_bd_c-e1555118416331-300x150.jpg 300w" sizes="(max-width: 480px) 100vw, 480px" /><figcaption>出典：Mini Post from England</figcaption></figure></div>



<p>ナッジ理論と近い研究分野として、大阪大学の松村真宏教授が提唱する<strong>仕掛学（Shikakeology）</strong><sup id="footnote_plugin_tooltip_2" class="footnote_plugin_tooltip_text" onclick="footnote_moveToAnchor('footnote_plugin_reference_2');">2)</sup><span class="footnote_tooltip" id="footnote_plugin_tooltip_text_2"><a href="https://uxmeetsdata.com/shikakeology/">仕掛学って？</a></span><script type="text/javascript">	jQuery("#footnote_plugin_tooltip_2").tooltip({		tip: "#footnote_plugin_tooltip_text_2",		tipClass: "footnote_tooltip",		effect: "fade",		fadeOutSpeed: 100,		predelay: 400,		position: "top right",		relative: true,		offset: [10, 10]	});</script>があります。仕掛学では、<strong>公平性（Fairness）</strong>・<strong>誘引性（Attractiveness）</strong>・<strong>目的の二重性（Duality of purpose）</strong>の三つの要件をすべて満たすものを、問題解決につながる行動を誘う<strong>「仕掛け」</strong>と定義し、それら三つの要件を頭文字をとって<strong>FAD要件</strong>と呼んでいます。とりわけ目的の二重性は行動デザインの本質をうまく説明しており、<strong>行動の変化を仕向ける側の目的（問題を解決したい）</strong>と、<strong>仕向けられる側の目的（その行動をしたい）</strong>が並立していることを意味しています。</p>



<p>行動デザインは、問題解決のために利用者の体験をデザインするという意味においては<strong>UXデザイン（UX Design）</strong>のひとつですが、目的の二重性を持つ点がその特異性を示しているといえます。</p>
]]></content:encoded>
										</item>
	</channel>
</rss>
